CRISPR-Cas9の歴史を簡単に説明します

ゲノム編集が最近アツいらしいけどそもそもその技術ってどうやって確立されたのかな。CRISPR-cas9が発見された歴史が知りたいな。

そんな質問にお答えします。

本記事では最近新聞等でも話題になっているCRISPR-Cas9が発見され、実用化されていった歴史について書いていこうと思います😌

以下の動画で、CRISPR-Cas9についてしっかりと解説されています。

この記事を書いている私は、ブログ初心者ですが、7年ほど研究活動を行っています。

すべては日本の研究者の発見からはじまった

1987 年、大阪大学の石野博士らのグループによって、大腸菌ゲノムの中に 珍しい繰り返し DNA 配列が発見されたことが、CRISPR の存在を示す最初のヒントとなりました。

これが後にCRISPRと名付けられます。

古細菌と細菌の衝撃の一致

1993年にフランシスコ・モヒカ博士は、古細菌アーキアでも同じ構造を見つけます。現在CRISPRとよばれている配列は彼が2002年ごろに名付けました。

2005年に彼は、これらの配列がウイルスのゲノムの一部と一致することを報告しました。この発見により、彼は、CRISPRが適応免疫システムであるという仮説を立てました。

別のグループが独立して研究していたが、同じ時期に同様の知見を発表しました(Pourcel et al., 2005)。

謎の配列は免疫の役割を持っていた

2007年にヨーグルト工場で、ヨーグルトの菌であるS. thermophilusがウイルスにやられてしまう問題がありました。フィリッペ・ホルバフ博士らは、ウイルスにやられてしまうS. thermophilusは、ウイルスのゲノムと同じ配列のCRISPRを持っておらず、ウイルスに抵抗できないことを突き止めました。

2008年にはジョン・ファン・デル・オースト博士らのグループが、CRISPR内のスペーサー配列がcrisprRNA(crRNA)と呼ばれる小さなRNAに転写され、Casタンパク質を標的DNAに誘導することを示しました。

CRISPR-Cas9システムを作る役者が出揃う

2011年にエマニュエル・シャルパンティエ博士のグループがcrRNAの他に必要なRNAである、trans-activating CRISPR RNA(tracrRNA)を発見します。

現在、CRISPR-Cas9のゲノム編集のシステムでは、Cas9タンパク質 + gRNA の組み合わせになっていますが、gRNA = crRNA + tracrRNAというイメージです。

2012年、ヴァージニユス・シクスニス博士らのグループが今まで、生体内(in vivo)で起きていたCRISPR-Cas9の現象を、試験管内(in vitro)で起こすことが出来ました。これはつまり、CRISPR-Cas9のシステムを遺伝子工学に応用出来る足がかりが出来たということです。

また、2012年、エマニュエル・シャルパンティエ博士とジェニファー・ダウドナ博士が上記のシクスニス博士と同様の知見を報告しています。また、シャルパンティエ博士とダウドナ博士はcrRNAとtracrRNAを融合させて(gRNA)さらにシステムを単純化出来ることを報告しました。

2013年、Feng Zhang博士が、真核生物、そして哺乳類でもCRISPR-Cas9のシステムが使えることを発見します。これは、人間を含め、すべての生物にゲノム編集を行うツールとしてCRiSPR-Cas9のシステムが応用できることを示した大きい発見でした。

これまでの流れについて、わかりやすい動画がありましたので、紹介させていただきます😌

ここまで読んでいただきありがとうございました。

今までの流れで分かったようにCRISPR-Cas9は多くの研究者が関わっています。そのため、特許関係でややこしい流れになっている現状もあります。が、非常に強力なツールですのでこれからも研究がどんどん進んでいくものと思われます。

これからも、ゲノム編集に関して記事をまとめていこうと思います。ありがとうございました。

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